研究概要 |
1) 培養細胞の検定:実験に使用する培養細胞の腫瘍本来の性格を有する事を証明した。 2) 培養細胞に対する有効制癌剤と有効な超音波照射量と時間:実験を行った制癌剤で有効性を明らかに示したものは、CisplatinとDoxorubicinであった。超音波照射量は0.45Watt/m2,317kHzが最も有効性を示していた。 3) 超音波による転移能の亢進:培養細胞のmatrigelでの血管透過性と超音波照射による関係では有為な差は認めていない。ヌードマウス移植腫瘍の超音波単独照射群で肺転移の増加は認めなかった。以上より超音波照射による転移能の亢進はないと考えられた。 4) 培養細胞ヌードマウス移植腫瘍に対する制癌剤と超音波照射:上記の結果を基に制癌剤投与後超音波照射を行った。腫瘍内壊死は90%程度発生していた。特にDoxorubicinでの有効性が認められていた。同時に超音波感受性のある薬剤として非制癌剤であるPhotofrin,ATX-70,Rose Bengalを使用したが、3者とも有効性を示し、特にRose Bengalでは制癌剤使用群と同等の有効性であった。 5) 超音波感受性非抗癌剤と抗癌剤の組み合わせ:最も有効な投与方法は抗癌剤投与後に超音波感受性非抗癌剤を投与し、超音波を照射する方法であった。薬剤の組み合わせではDoxorubicinとRose Bengalとが最も有効性を示していた。 6) ヌードマウス移植腫瘍への超音波照射:移植後4週での小型固形癌の状態では抗癌剤と超音波照射により腫瘍の発育は抑制あるいは消失が認められた。 7) 骨軟部肉腫の肺転移性腫瘍への応用:肺転移腫瘍に対する肺動脈動注化学療法の開発を行った。CDDPとADMの肺動脈動注による肺組織濃度を調べると、共に通常の静脈投与による濃度とは約3倍の高濃度を示していた。
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