研究概要 |
秘匿式麻酔安全情報システムを構築した。その構造は,まず浜松医科大学麻酔・蘇生学教室内に秘匿式麻酔安全情報センタを設け,最初は浜松医科大学内,引き続き浜松医科大学麻酔・蘇生学教室の関連病院,さらに静岡県麻酔科医会の協力をえて,静岡県の主な麻酔科にその情報網を拡げた。このシステムの根幹をなしているものは一つの死亡などにいたる大事故の前には多数のそれに関連した小さな事項が多く発生しているという理念であり,その小さな事項の発生を分析して麻酔医にその重要性を知らせることにより大きな事故を未然に防ぐことがねらいである。大事故に至らない個人のミスはあまり公にはしたがらないため,秘匿式にして情報をより多く集めるようにしている。この研究助成の間すでに各病院に差出人が分からないようにして出せる秘匿式麻酔安全情報レポートを作製し各協力病院に常設した。今までに計50通以上の情報が寄せられている。その中で,緊急に対処しないと大事故に結びつきそうな麻酔関連機器に関係した機器の不具合の情報はまだ無いが,ヒューマンファクターによると思われる事項は多く寄せられている。今までにこの種類の情報を集めて解析した報告はほとんどない。まだ,寄せられた情報の数が少ないために,系統的な情報の解析はできない状態であるが,少なくとも新しい機器が登場したときそれに関連した不具合があれば初期の段階でその不具合の情報がつかめ大事故に至る前に対処することが可能と考えられる。多くの情報を収集するという意味でさらに協力病院を全国に拡げる必要があり,秘匿式麻酔安全情報レポートに対する認識をもってもらう意味で,系統的な情報の解析ができしだい,麻酔ニュースレターなどで発表していく予定である。
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