研究課題/領域番号 |
08671730
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
麻酔・蘇生学
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研究機関 | 関西医科大学 (1997) 京都大学 (1996) |
研究代表者 |
中尾 慎一 関西医科大学, 医学部, 講師 (10207714)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ケタミン / NMDA受容体 / 帯状皮質 / ジアゼパム / ハロセン / プロポフォール |
研究概要 |
NMDA受容体拮抗薬には精神異常誘発作用(psychotomimetic activity)があり、また、場合によっては神経細胞障害を引き起こす事も報告されている。これらの副作用は、ジアゼパム等の使用によりGABAA受容体を活性化させることにより、軽減できることが臨床上確かめられている。Olney等は、NMDA受容体拮抗薬がラット脳帯状皮質の障害を引き起こすことを証明し、この部位は精神異常誘発作用にも関係があると推定した。一方、我々はNMDA受容体拮抗薬であるケタミンにより、細胞活動の指標となる細胞性癌遺伝子c-fos蛋白の発現が、帯状皮質を中心に誘導されることを報告している。本研究では、吸入麻酔薬、ベンゾジアゼピン誘導体、プロポフォール等の薬剤が、ケタミン誘発性の帯状回c-Fos発現を抑制するかどうかを調べる。 ラットの腹腔内へ、ケタミンを投与することによって、帯状皮質に大量のc-fos蛋白(c-Fos)の発現が誘導されることを確認した。このc-Fos発現は、ベンゾジアゼピン誘導体ジアゼパムのみではなく吸入麻酔薬であるハロセンにより濃度依存性にかつ臨床濃度で抑制されることを見いだした。さらに、新しい静脈麻酔薬プロポフォールについても同様の実験を行い、ケタミンによるラット脳帯状皮質c-Fos発現が濃度依存性にかつ臨床濃度範囲内で抑制されることを見いだした。 本実験は、ケタミンの幻覚等の副作用の予防と治療にベンゾジアゼピン誘導体が有効であることの理論的根拠を与えるとともに、吸入麻酔薬との併用でもこの幻覚が抑制される可能性が示唆するものである。また、プロポフォールはNMDA受容体抑制作用もあることが報告されているにもかかわらず、ケタミンを含むNMDA受容体拮抗薬がもつ精神異常誘発作用を抑制する可能性のあることが示唆された。
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