研究概要 |
低酸素血症で,体酸素代謝と心臓の酸素代謝および心機能との関係検討した. (1)低酸素血症における体酸素代謝と心機能との関係 ブタで(n=9),吸入気酸素濃度(F_<IO2>)を段階的に低下させ体酸素代謝と心機能との関係を検討した.その結果,(1)F_<IO2>の低下でD_<O2>は有意に減少したが,V_<O2>はF_<IO2>0.13まで不変で,0.11以下で対照値より有意に減少した.酸素摂取率(O_2ER)は0.18以下で有意に上昇した.(2)COはF_<IO2>0.15までは不変で,0.13で有意に増加し,0.11で最大値を示した.F_<IO2>0.10では0.11より有意に減少したが,対照値と同じレベルであった.(3)心収縮力(Ees)はF_<IO2>0.13で有意に上昇して最大値を示したが,0.11で低下傾向に移行し,0.10では対照値以下であった. (2)低酸素血症における心筋の酸素化の検討 ブタで(n=3),(1)と同じ条件で心筋酸素代謝を検討した.その結果,(1)冠血流量はF_<IO2>0.13以下で増加し、0.11で最大値に達し,0.10で減少した.心筋D_<O2>0.15で最大値に達した後に減少し,0.10で対照値以下に減少した.心筋O_2ERはF_<IO2>0.13以下で上昇した.冠静脈血乳酸値はF_<IO2>0.13以下で急激に増加した. (3)臨床症例における左室圧-容積関係(LVPVR)測定上の問題の検討 臨床症例でLVPVR測定上の問題を検討した。その結果,(1)静脈還流量の調節が困難で安定したLVPVR曲線を得にくい.(2)不整脈でLVPVR曲線が変化あるいは得られない。(3)LVPVR曲線の描出に時間を要し,測定中に循環動態が変動することがあった. 統括 低酸素血症でC_<aO2>に伴う代償的なCOの増加が持続している時期に,既に心機能(心収縮力)の低下が起こる.心機能が低下した時期には心臓のDo2が減少した.従って,低酸素症の管理では体酸素代謝と心機能との整合を図ることが重要である.
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