研究概要 |
1.Free/total PSA indexによる前立腺癌の早期診断:前立腺特異抗原(PSA)には主にα1-アンチキモトリプシン(ACT)と結合した結合型PSA(ACT-PSA)と単独で存在する遊離型PSAが存在する。我々はまず、遊離型PSAの割合を調べることにより前立腺癌を早期に診断出来ることを明らかにした。血清PSA値が10ng/ml以下であった285名の患者を対象に遊離型PSA値と総PSA値の割合(free/total PSA index)を測定した。285例中57例(20%)が前立腺癌であった。このような症例ではPSA値単独で前立腺癌を診断することは困難である。しかし、free/total PSA indexを用いれば診断効率はPSA単独よりも向上した。両者のsensitivityが等しくなるように(sesitivity for PSA;75.4%,that for free/total PSA index;78.9%)cutoff値を設定するとfree/total PSA indexのspecificity,positive predictive valueおよびoverall accuracy(それぞれ、75.9%,45%,76.5%)はPSA単独(それぞれ、56.6%,30.3%,60.4%)に比べ15〜20%向上した。ROC curveも向上していた。 2.ACT-PSAの測定:一次抗体として抗PSA抗体、二次抗体として抗ACT抗体を使用し、サンドイッチ法により血清ACT-PSA値を測定し、特異性について検討している。ROC curveではPSA単独よりも若干向上しているが、もう少し検討を要すると思われる。
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