研究概要 |
基礎実験の結果からストレプトゾトシン(STZ)の投与量、方法は70mg/kg生理食塩溶液、腹腔内投与とした。ウレタン麻酔(1.5g/kg,SC)下にratを仰臥位とした。膀胱を露出し、一側の尿管を結紮し、他方の尿管に細経カテーテルを挿入し生理食塩水の注入経路とした。経尿道的に3Frマイクロチップトランスデューサを膀胱内におき膀胱内圧を測定した。コントロールrat(12週齢)において、膀胱収縮が誘発される膀胱容量(閾値膀胱容量)は0.3-0.5mlで、その後膀胱内圧の律動的な収縮が認められた。STZ投与8週後の糖尿病rat(12週齢:糖尿病未治療群)では閾値膀胱容量は著しく増加し、またそのあとに出現する律動性収縮の発現頻度は低下傾向を示した。STZ投与とともにプロスタグランヂンE1アナログ300ug/kg/day,p.o.投与群、アルドース還元酵素阻害剤100mg/kg/day,p.o.投与群、プロスタグランヂンE1アナログ300ug+アルドース還元酵素阻害剤100mg/kg/day,p.o.投与群においてSTZ投与後8週における膀胱内圧所見の変化を検討した。プロスタグランヂンE1アナログ、アルドース還元酵素阻害剤投与群においては明らかな変化を認めなかった。糖尿病未治療群と比較し、プロスタグランヂンE1アナログ+アルドース還元酵素阻害剤併用群においては閾値膀胱容量の減少、律動性収縮の回復傾向を認めたが、いずれも有意な差を認めなかった。現在の時点では実験rat数が少なく推計学的検討に充分なデータが得られていないこと、糖尿病の罹病期間が比較的短期であることから、更なる実験データの集積と、長期糖尿病罹患ratにおける検討が必要である。
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