研究課題/領域番号 |
08671788
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
水永 光博 旭川医科大学, 医学部, 助手 (60229698)
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研究分担者 |
金子 茂男 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (90122035)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 神経因性膀胱 / 塩酸オキシブチニン / 膀胱内注入療法 / 尿失禁 |
研究概要 |
1.粘膜付着性物質であるHPC(hydroxypropyl cellulose)を混入した塩酸オキシブチニン溶解液(以下OB-HPC溶液)の調製、および長期安定性の検討:HPC溶液が滅菌用フィルターを通過しないため、HPCとOBを別個に溶解し、混合攪拌して調製した。高速液体クロマトグラフィーを用いた検討では、室温保存で6カ月で約95%の残存率であり、製剤の長期安定性が確認された。 2.薬物動態の検討および臨床成績:OB錠内服、OB溶液膀注、OB-HPC溶液膀注の三者で正常成人男子5名を対象に、血中濃度、尿中濃度、尿勢に及ぼす影響を検討した。その結果OB-HPC溶液膀注後が最も血中濃度が低いにもかかわらず、尿勢を低下させる効果は強く、効果も長時間持続した。血中濃度曲線のAUCより絶対吸収量を算出するとOB錠内服とOB溶液膀注後は投与量の20%であったのに対し、、OB-HPC溶液膀注後では8%と吸収が少ないことが判明した。OB錠内服後では、尿勢は変化しなかった。尿中濃度は内服後では尿中に検出されず、OB-HPC溶液膀注後では、OB溶液膀注後に比べ初回の排尿の時の尿中排泄量が少なかった。以上の結果から、OB溶液の作用機序として、膀胱粘膜から吸収されてsystemicに作用するよりも膀胱平滑筋に対する直接の収縮抑制作用が推測された。またOB-HPC溶液についてはHPCを配合することによりOBが膀胱壁に長時間滞留するために作用持続時間が延長するものと考えられた。現在、OB溶液の膀注では作用時間が短く効果が不十分であった神経因性膀胱患者8名(平均31.4歳)に対し、OB-HPC溶液の膀注療法(1日1〜2回、治療期間平均10カ月)を継続しており、副作用もなく尿失禁に対し良好な臨床成績が得られている。OB-HPC溶液の膀注療法は、内服治療の無効な難治性尿失禁に対し、有用な治療法と思われた。
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