研究概要 |
Fas/Apo-1はTNFレセプターファミリーに属する膜蛋白であり、アポトーシスを誘導しうる。ヒト前立腺癌細胞PC-3,LNCaPはともにFasを本来発現していない。両者にヒトFas cDNAをstableにトランスフェクトしたクローンを作製したところ、in vitroにおいて抗ヒトFas抗体にてPC-3は光顕、電顕にてアポトーシスを起こしFas感受性であったが、LNCaPはアポトーシスを起こさずFas抵抗性であった。Balb/cヌードマウス皮下にPC-3 Fasトランスフェクタントを接種したところベクターのみトランスフェクトしたコントロールPC3に比べて腫瘍増殖は抑制されていた。さらに肉眼的腫瘍を形成したBalb/cヌードマウスに対し抗ヒトFas抗体を腹腔内投与したところ、PC-3 Fasトランスフェクタント腫瘍にのみアポトーシスが誘導され、コントロールPC-3腫瘍には見られなかった。さらに現在、マウスFasのリガンド(FasL)やマウスインターロイキンβ変換酵素(ICE)をトランスフェクトしたヒト前立腺癌細胞PC-3,LNCaPやマウス腎癌細胞(Renca)を作製しており、これらのin vitro,in vivoでの反応を検討中である。
|