研究課題/領域番号 |
08671810
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤田 潤 京都大学, 医学研究科, 教授 (50173430)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 細胞分化 / 腎癌 / 水ポンプ / 予後 / 腫癌マーカー / ウロプラキン / 膀胱癌 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
進展度(stage)や細胞悪性度(grade)の分類は予後の推定に有力な情報を与えるが、中間のグループに属する症例が多くなる傾向があり、それらでは予後の推定が難しい。我々は、より悪性な癌ほど癌細胞の増殖に有利な遺伝子の発現が亢進し、無関係か不利な遺伝子の発現は低下するのではないかと考え、肝癌で血管増殖因子の発現亢進、肝細胞の分化マーカーKan-1mRNAの発現低下と臨床所見との相関を見いだした。そこで、本研究では、1)近位尿細管上皮で発現する水ポンプ(CHIP28)遺伝子mRNAの腎細胞癌組織における発現と病理所見、臨床所見、予後との相関を、手術例65例を対象に解析した。その結果、腫瘍のgradeが高い例、リンパ節転移がある例では有意に癌組織におけるCHIP28 mRNAの発現が低かった。gradeが低い一中等の例でも、CHIP28 mRNAの発現が低い例では有意に予後が悪く、grade、stageよりも予後を良く反映していた。同様に尿細管上皮の分化マーカーであるカーボニックアンヒドラーゼ遺伝子の発現を解析し、これも腫瘍マーカーとなりうることを見いだした。さらに2)膀胱癌組織ではRNAは量的な問題から解析が難しいために、尿路上皮のAsymmetric membraneで発現している分化マーカー(ウロプラキン)に対する抗体を作成し、免疫組織染色を行った。膀胱癌では正常尿路上皮よりも染色性が低下している傾向がみられた。すなわち本研究によって、尿路悪性腫瘍の悪性度マーカーとして分化マーカー、特にそのmRNAレベルでの解析が有用である可能性が示された。
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