研究概要 |
尿道下裂は尿道口が陰茎の先端に開口せず,陰茎の途中あるいは陰嚢,会陰の高さに開口している先天性の疾患である。 昨年までわれわれは,ラビットの陰茎を用いて,尿道およびそれを取りまく尿道海綿体を切除し尿道下裂状態を作成した。つづいて膀胱粘膜を採取し,マイクロサージェリーのテクニックを利用し,チューブ状になるように極細の吸収系で縫合し,欠損尿道に移植したが,生着には至らなかった。さらに尿管や腹膜についてもフリーグラフトにして欠損尿道部に移植し,新尿道の生着状況を観察したが,移植尿道の生着したラビットを作成することができなかった。本年も追試験を繰り返したが,同様の結果を繰り返した。 そこで,実験方法の転換を余儀なくされ,以下の3点について軌道修正して実験を行っている。(1)実験動物をラビットからラットに変更した。(2)チューブ形成を行わず,onlay(上蓋)スタイルとして尿道を形成した。(3)移植組織を有茎組織弁として血行を維持するようにした。 現在尿道下裂状態形成術を終了し,尿道移植手術を終え,その生着の成否について観察中である。生着が得られたら,移植尿道の形態,機能などについて明らかにする予定である。
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