研究課題/領域番号 |
08671842
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
岩村 正嗣 北里大学, 医学部, 講師 (20176564)
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研究分担者 |
頴川 晋 (穎川 晋) 北里大学, 医学部, 講師 (60160347)
内田 豊昭 北里大学, 医学部, 講師 (70146489)
桑尾 定仁 北里大学, 医学部, 助教授 (70137925)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 前立腺癌 / 臨床的重要性 / 平均余命 / 腫瘍倍加時間 / androgen receptor / 遺伝子変異 / ホルモン非依存性 / PTHrP / PIN / PSA / 免疫組織染色 / 高カルシウム血症 |
研究概要 |
前立腺特異抗原(PSA)の測定が前立腺スクリーニングに導入されて以来、日本人の前立腺癌の罹患率は急激に増加している。これは早期発見による前立腺癌の根治に寄与したのと同時に、臨床的に重要でない癌、すなわち病因や死因になりえない癌の発見につながっている。従来、前立腺癌の臨床的重要性は癌の体積、病期、悪性度など病理学的所見で論じられてきた。これらの因子に患者の平均余命と癌の倍加時間を加えて我々の経験した106例の前立腺全摘出術症例を検討した。症例の腫瘍倍加時間を2年、3年、4年、6年と仮定すると臨床的に重要でない癌は夫々4.8、10.6、15.4、26.9%であった。これらの約半数は臨床所見を伴わず、PSA高値のみで発見された病期T1c癌であった。また、臨床的に重要な癌のうち根治可能と考えられたものは腫瘍倍加時間2年でわずか36.4%、3年で32.3%、4年で30.7%、6年で25%であった。平均余命と癌の倍加時間は前立腺癌の治療法を決定する上で考慮すべき重要な因子であると考えられた。 前立腺癌の発育はアンドロゲンに依存しており、抗アンドロゲン療法は進行性前立腺癌の初期治療法として極めて有効である。しかし、やがてその多くはホルモン療法に抵抗を示し致命的となる。このアンドロゲン非依存性獲得のメカニズムには不明な点が多く、いまだ結論は見い出されていない。我々は前立腺癌のアンドロゲンレセプター(AR)の遺伝子レベルでの変化に注目し、29症例のARを分子生物学的に解析した。AR遺伝子のmicrosatellite instabiityはホルモン依存性癌の19%に、非依存性癌の16.7%に認められ、両者に有位差はなかったがexon Dのpoint mutationは病期D2ホルモン非依存性前立腺癌1例にのみ認められ、ARのmutationがアンドロゲン非依存性獲得のメカニズムに関与している可能性が示唆された。 今後、前立腺生検の正診率を向上させるための新たな組織マーカーの開発等の研究を継続していく予定である。
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