研究概要 |
前立腺においては幹細胞の存在に関する報告は少なく,基底細胞がその候補にあげられているものの,前立腺腺内にびまん性に存在するのかそれとも腸腺のようにある特定の局在に存在するのか全く解明されていない.本研究の目的は,前立腺腺関構築におけるクローン性の解析とともに,どの部位に幹細胞が存在するかを腺細胞のクローン性から検討するものである.C3HとBALB/cのマウスの卵管から初期胚を採取しプロテアーゼ処理後,双方を24時間接着させ集合胚を形成させる.偽妊娠を誘発した借腹親(ICRマウス)の子宮に集合胚を移植し出産させ集合キメラマウスを作製された. 成獣のミメラマウスの前立腺(腹葉,後側葉,凝固腺)を摘出しコラゲナーゼ処理し,前立腺腺管を微小解剖した.2次元的に進展された前立腺標本をリン酸緩衝中でマイクロウエーブ照射後,抗C3H系統特異抗体によりABC法の変法により免疫組織染色を行なった.前立腺腺管におけるC3H由来細胞の分布を検討したが,腎,精巣,精巣上体,精嚢腺など他の泌尿生殖臓器ではあきらかなキラメ構造を認めた.前立腺においては,初期実験ではキメラ構造を持つ可能性が示されたが,抗C3H系統特異抗体による染色性が不安定であり,キメラ状態を確認する新たな手技が必要と考えられた.現在分子生物学的手法により前立腺組織のキメラ状態を検討するため,PCR法によりD3Mit21をプライマーして,Balb/cとC3Hのマウス系統の識別を試み,この手技によりキメラマウス前立腺の実験系が安定するか検討中である.
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