研究概要 |
1.妊娠ラットについて 非妊娠ラットを対照群として妊娠第5,10,15,20,産後第5,10,15日目のラットよりインスリン感受性組織である骨格筋(大腿四頭筋)や脂肪組織(腹腔内脂肪組織)を採取し、律速酵素の1つであるglucose transporter 4(GLUT4)およびhexokinaseII(HKII)の遺伝子発現,蛋白レベル,活性を測定した。骨格筋におけるGLUT4およびHKIIのmRNA発現,蛋白レベル,活性は、妊娠および授乳期を通して有意な変化は認められなかった。脂肪組織におけるGLUT4のmRNA発現は、妊娠20日目に対照群に比し67%に有意に減少し、出産後急速に増加し、非妊娠時に復した。GLUT4の蛋白発現は、mRNAとほほ同様に変化した。脂肪組織におけるHKIIのmRNA発現は、妊娠15日目より有意に減少(73%)し、20日目には非妊娠時のほほ半量となった。HKII活性はmRNAとほぼ平行に変化し、20日目には有意に減少した。これらのことより、妊娠末期のインスリン抵抗性の一因として、脂肪組織におけるGLUT4およびHKII発現の減少が考えられる。 2.sex steroid hormone投与ラットについて 去勢ラットに17β・estradiol(E)およびprogesterone(p)を腹部皮下注により単独投与または同時投与し、腹腔内脂肪組織および大腿四頭筋を採取しGLUT4およびHKIIのmRNA発現,蛋白レベル,活性を測定した。骨格筋におけるGLUT4mRNAおよび蛋白発現には有意な変化は認められなかった。脂肪組織におけるGLUT4mRNA発現は、E単独投与で減少傾向を示したが、P単独投与では変化せず、両剤同時投与によりその発現は約2分の1に有意に減少した。HKII発現は現在測定中である。
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