研究分担者 |
増山 寿 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
水谷 靖司 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (20294465)
上村 茂仁 (上村 茂人) 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (90281154)
中田 高公 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
河原 伸明 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
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研究概要 |
胎児,新生児は分娩を境に急激な生理学的,代謝学的変化を示し,外界に適応する.この周産期における適応現象につき検討した. EGFは胎仔体重は有意に増加させ,この機序としてEGFのアミノ酸移送が関与していることを示した.また,胎盤の初代培養を用いた実験ではEGFだけでなく,IGF-I,レチノール,インスリンも関与していることを示した.EGFは新生児ラットの小腸の機能的,器質的発育も促進し,逆にポリアミン合成阻害によりこれらは損なわれた.小腸で,ポリアミン阻害とアポトーシスの関与についても検討したがアポトーシスの関与は証明できなかった.ポリアミンは胎児発育とも密接に関係し,その合成阻害により子宮内胎仔発育遅延が発生した.この場合のメカニズムとして胎盤での特異的なポリアミン合成阻害が関与していることが判明した. この胎盤にはヘム代謝酵素が存在しており,妊娠末期には胎盤で合成,分解の両方が活発に行われており,これらの酵素はいずれも胎盤絨毛に局在していた.また,低酸素刺激によりこれらの酵素は調整されていることも判明した. ストレプトゾトシンにより糖尿病合併妊娠モデルの作成でき,このモデルでは,胎児発育遅延,高血圧,高脂血症,血液濃縮,蛋白尿など妊娠中毒症症状を呈し,糖尿病合併妊娠の病態生理,multi-factor syndromeとの関連を研究する上で,有用な実験動物モデルになるものと考える. 今回の検討にこれまでの我々の検討を合わせて考えると,胎児自身,分娩を境に急変する環境の変化に適応するため,すなわち母乳保育が確立するまでの出生直後のエネルギー補給が十分でない時期を乗り切るために種々の代謝学的変化をおこして適応していることが明らかになった.これらの変化にはEGF,IGF-I,インスリン,レチノイド,ポリアミンなど種々の物質,ホルモン,成長因子が関与し重要な働きをしていることが判明した.
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