研究概要 |
1990年から頭頸部癌に対するCBDCAと照射の同時併用を試みた結果,喉頭癌,口腔癌,鼻副鼻腔癌において良好な成績が得られ、さらに喉頭癌では T2、T3症例で喉頭温存生存率が照射単独に比べて優れていた。そこで,今回はCBDCA+照射 vs CDDP+照射の無作為化比較試験を実施した。実施方法の詳細は報告書の通りである。対象はCBDCA群50例,CDDP群46例で計96例である。完遂例はCBDCA群41/50例,CDDP群37/46例で計78例である。完遂例の3年生存率はCBDCA群87.8%,CDDP群61.5%であったが有意差はみられなかった。症例の多かった中咽頭癌,下咽頭癌,喉頭癌について3年overall survivalをみると,中咽頭癌ではCBDCA群:100%,CDDP群:64.3%であり,下咽頭癌ではCBDCA群:60%,CDDP群:83.3%,喉頭癌ではCBDCA群:94.1%,CDDP群:63.2%であったが,いずれも有意差はみられながった。しかし,喉頭癌について喉頭温存生存率についてみると,先ず亜部位別では声門癌の3年喉頭温存生存率は,CBDCA群:86.7%,CDDP群:55.6%で有意差はみられなかった(p=0.0627)。しかし,声門上癌では3年喉頭温存生存率は85.7%,CDDP群:13.9%で有意差が認められた(p=0.0241)。次ぎにT2,T3症例についてみると,先ずT2ではCBDCA群は1〜3年までの喉頭温存生存率はすべて90%であるのに対し,CDDP群での生存率は各々65.1%,56.1%,42.1%であり,両群間に有意差が認められた(p=0.0097)。T3では,両群とも症例数が少ないため有意差はみられなかった。副作用についてみると,CBDCA群では粘膜炎の頻度,gradeも低いのに対して,骨髄毒性はつよく,一方,CDDP群では口内炎などの粘膜炎の頻度,gradeは高いが,骨髄毒性は低く,各々の薬剤の特徴が現れている。今後も症例数を増やしさらなる検討を続けていく予定である。
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