研究課題/領域番号 |
08671966
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
工田 昌也 広島大学, 医学部・附属病院, 講師 (00179590)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1996年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 内耳 / 前庭器 / 細胞骨格 / 一酸化窒素 / 耳石 / 病態 / 分子生物学 / カルシウム / モルモット / X線マイクロアナライザー |
研究概要 |
本研究は内耳障害機構を分子生物学的レベルで解明するとともにその障害過程の軽減因子、回復の可能性を探ることを目的とし、主に超高分解能走査電顕、免疫学的手法を用いて検討した。まず、モルモットにゲンタシンを鼓室内投与し内耳障害モデルを作製。この動物を利用して、耳毒性薬剤投与による細胞障害様式を細胞骨格レベルで検討した。その結果、耳毒性薬剤による細胞骨格の障害は比較的早期にミトコンドリアの障害が起こる前後に独立して生じ、細胞骨格の障害の進行がゴルジ装置、小胞体、等の他の細胞内膜性小器官の変性を引き起こすことが明らかとなった。次に、前庭器におけるNOについて検討した結果、NOは内耳では主に構成型のNOSにより産生され、神経伝達や血流、内リンパの恒常性の維持に関与することが明らかとなった。これに対して、誘導型のNOSにより産生されるNOは活性酸素と相互に作用し、より反応性に富むパーオキシナイトライトを生じ、これが内耳障害のメディエーターとして作用していることが明らかとなった。これらのことより、高度の細胞障害は細胞骨格の障害により始まること、障害因子としてはフリーラジカルが大きな役割を果たしていることが明らかとなり、内耳障害の発生予防、治療の可能性を見い出すことができた。さらに、内耳の恒常性保持機構、特に内リンパのCa調節因子としての耳石の役割をX線マイクロアナライザー、各種Caトレーサー、走査電顕を利用して検討した結果、耳石の表面でCaは常に交換されており、耳石が内リンパのCaの恒常性の維持に関連していること、耳石の量、形態の変化は内リンパのCaイオンの恒常性の維持に密接に関係している事が明らかとなった。 これらの結果はSENDAI SYMPOSIUM 96、97、第5回、第6回日本耳科学会、第55回、第56回日本平衡神経科学会で報告するとともに、21編の論文にまとめられた。
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