研究概要 |
1.ベーチェット病 ベーチェット病患者における慢性再発性の炎症病態形成におけるT細胞の役割についての研究をおこなった.まず,活動性のぶとう膜炎を有するベーチェット病患者では末梢血リンパ球の活性化マーカーの上昇がみられるが,この内特にT細胞について,SEB,抗CD3抗体などの刺激因子に対する反応を調べた.その結果,対照とした健康成人では速やかに活性化されたが,ベーチェット病患者では反応が低く抑えられ,24-48時間後に両者の活性化マーカーの発現率が逆転することが判明した.また刺激により活性化したT細胞の抗Fas抗体,あるいはTNF-alphaにより誘導されるapoptosis(activation induced cell death; AICD)を解析したところ,活動性ぶどう膜炎を有する患者群ではapoptosisを起こす割合が有意に低かった.これらの事実より,ベーチェット病患者のリンパ球は特異な活性化持続状態にあるものと考えられた. 一方動物モデルを用いた研究では,実験的自己免疫性網膜ぶどう膜炎(EAU)においてhelper T細胞のサブセットを検討し,炎症の形成過程でTh1/Th2比が上昇すること,また治療によりこの比率が抑えられることが明らかとなり,T細胞サブセットに焦点をあてた治療法の開発が有用である可能性が示唆された. 2.原田病 原田病の疾患感受性遺伝子であるHLA DRB1*0405をベタク-を用いて移入したDRB1*0405陽性色素細胞の作製に成功し,現在患者リンパ球との反応を解析中である.
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