研究概要 |
培養ミューラー細胞を用いて,各種細胞増殖因子の遺伝子発現をみた。対象とした細胞増殖因子は、腫瘍増殖因子およびその受容体(transforming growth factor β1,β2,β3,type I receptor,type II receptor),各種神経栄養因子およびその受容体(nerve growth factor,brain-derived neurotrophic factor,neurotropin-3,trkA,trkB,trkC),肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor),血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor)である。この結果,(transforming growth factor-βではβ1,β2が発現していたが,β3は発現がみられなかった。また受容体ではtypeI receptor,type II receptorとも発現してたが,特に対数増殖期の細胞の方が,コンフルエント時の細胞よりも発現が強かった。培養上清中の(transforming growth factor-β1,β2の蛋白量をELISA法で測定したが,β2が優位であった。神経栄養因子ではnerve growth factor,brain-derived neurotrophic factor,neurotropin-3とも発現が見られた。受容体ではtrkB,trkCが発現していたが,trkAは発現が見られなかった。肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor),血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor)は発現していた。またVEGFのmRNAおよび蛋白量の発現はAGE(advaced glycation endproduct)で亢進した。この結果,培養ミューラー細胞は種々の細胞増殖因子やサイトカインを発現し,眼内増殖性疾患の病態に深く関与していることが示された。
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