研究課題/領域番号 |
08672032
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
眼科学
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
吉富 健志 北里大学, 医学部, 助教授 (60191623)
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研究分担者 |
大塚 紀佳 北里大学, 医学部, 助手 (80265579)
春野 功 北里大学, 医学部, 助手 (10286255)
石川 均 北里大学, 医学部, 講師 (80265701)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 緑内障治療薬 / 眼循環 / 毛様動脈 / 等尺性収縮記録法 / ピロカルピン / Betaxolol / Timolol / ウノブロストン / ウノプロストン / 緑内障 / 眼動脈 / 後毛様動脈 |
研究概要 |
正常眼圧緑内障のように眼圧上昇を伴わない視神経障害の発生因子として視神経乳頭の血流障害は長い間論議となってきた。近年レーザードプラー、レーザースペックルなど、生体で視神経近傍の循環動態を非浸襲的に測定できる方法が発達し、この問題の論議は新たな局面を迎えた。正常眼圧緑内障の治療において、既存の緑内障治療薬は眼圧下降という目的からは十分な効果は持っていない。このような薬剤の眼循環に対する効果はこの意味から臨床上重要と思われる。この問題は先の新しい眼循環測定法を駆使したin vivoの実験が多数行われているが、我々はin vitroでこれらの薬剤が血管平滑筋に対してどのような効果を持つかを検討した。 ウサギ毛様動脈を摘出し、その摘出血管を等尺性収縮記録装置に懸垂し、様々な薬物がこの血管にどのように影響するかを調べた。この血管はα作動薬に対して濃度依存性の収縮を示したが、β作動薬には反応せず、β受容体はこの血管に関する限り重要な役割を果たしていないと考えられた。神経刺激を行うとこの血管の神経支配には収縮性の成分と弛緩性の成分があることがわかった。前者は交感神経α受容体を介するもので、後者は非アドレナリン非コリン性のNOを伝達物質とする神経によって起こっていると考えられた。ピロカルピンはこの血管の内皮細胞に存在するムスカリン受容体を介して内皮依存性のNOを放出させることによって濃度依存性の弛緩を起こすことが明らかとなった。β遮断薬はBetaxolol、Timolol、Carteololで検討を行った。Betaxolol、Timololは比較的高濃度でこの血管を弛緩させたが、その機序として、これらの薬剤の持つCa拮抗薬様作用が考えられた。Carteololの血管弛緩作用は確認できなかった。ウノプロストンはやはり濃度依存性の弛緩を起こしたが、弛緩は内皮非依存性で、Ca拮抗薬様作用とも異なり、内因性のCGRPやPGの関与もなく、作用機序に関しては不明であった。既存の緑内障治療薬のほとんどは血管弛緩作用を持つが、その作用機序は異なっていることが明らかとなった。この結果は臨床的にも非常に有意義である。
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