研究概要 |
INTERZEAG社製自動視野計OCTOPUS1-2-3にpupil perimetry packageを組み込み、外部コンピュータの瞳孔視野測定用プログラムでコントロールし,臨床上有用な自動瞳孔視野測定法の開発研究を行った。 正常被検者において背景輝度、視標サイズ、視標輝度、視標呈示時間などの測定条件を様々に設定して瞳孔視野測定を行い、中心30゚内の自動瞳孔視野測定に適した測定条件の検討を行った。また,閾上刺激により対光反応の縮瞳量あるいは縮瞳率を求める単一閾上刺激法と,対光反応が生じる最低視標輝度を求める閾値測定法を比較検討した。その結果,臨床用の測定プログラムには,視標サイズはサイズ5,背景輝度は3asb,視標輝度は約1000asb,視標呈示時間は200msec,測定ストラテジーは単一閾上刺激法を用いることとした。 緑内障患者や半盲症を対象に中心30゚内自動瞳孔視野測定を行ったところ,明度識別視野に類似した視野変化を検出することができたが,空間的な解像度は明度識別視野に比べて低かった。これは,瞳孔視野における空間的寄せ集めの検討から,瞳孔反応を測定していることに起因する本質的な相違と考えられた。また,測定値の個体差や個体内でのばらつきが大きい傾向も認められた。こうしたことから瞳孔視野は明度識別視野に代わるものではないが,両者の結果が明らかに異なる場合には病態診断上,非常に意義深いと考えられる。そのためにも,瞳孔視野における測定値の個体差や個体内でのばらつきの傾向をさらに解析し,正常例と異常が軽度な症例との判別方法を確立することが今後の課題である。
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