研究概要 |
本研究プロジェクトでは、(1)遺伝性ならびに散発性のヒルシュスプルング病におけるRET proto-oncogeneの遺伝子変異を検索することによってヒルシュスプルング病及び類緑疾患の発性に関与する遺伝学的背景を明らかにし、(2)ヒルシュスプルング病縁疾患、特にhypoganglionosis等における遺伝子変異を検索し、ヒルシュスプルング病ならびに類縁疾患の分子遺伝学上の共通点と相違点を明らかにすることを目的として行った。 ヒルシュスプルング病ならびに類縁疾患患者100名に関する家族歴を、H病のほか皮膚白斑や虹彩色素異常、内耳性難聴の有無等に着目して検討した。その結果、ヒルシュスプルング病のみならずMEN第2A型やWaardenburg症候群など複数の多彩な病態の発生の合併が明らかになった。これらの臨床的特徴をもとに臨床分子遺伝学的研究に移った。患児末梢血液よりDNAを抽出しRET proto-ooncogene,GDNF,Endothelin gene等の遺伝子変異についてPCR(polymerase chain reaction)ならびにdirect sequence法を主体に遺伝子解析を進めた。その結果、ヒルシュスプルング病およびMEN第2A型、第2B型の各家系においてRET proto-oncogneのgermline mutaitionを見い出した(exon 5,7,10,111,13,15,16,1,17)。これらの変化は病態の発生と密接に関わりを持つものと考えられ、今後臨床への応用が可能と考えられた。
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