研究概要 |
平成8,9年度においては鶏胚大腿骨のケラタン硫酸(KS)proteoglycan(PG)と他の硫酸化PGの局在および性質をKSおよび他のglycosaminoglycan(GAG)に特異的な抗体を用いて免疫組織化学および生化学的に検討し,またKSPGの分離・精製を試みた。 1 免疫組織化学 KSおよびコンドロイチン4-硫酸に対する反応は,いずれも類骨,骨細胞表面,骨小腔壁および骨細管に相当すると考えられる小管状・顆粒状の構造物に限局して認められた。また,骨小柱間の骨髄組織にも反応が認められた。デルマタン硫酸に対する反応は上記の所見とほぼ同様な所見が得られた。コンドロイチン6-硫酸またはコンドロイチンに対する反応は鶏胚骨組織においては陰性を示したが,骨小柱間の骨髄組織には反応が認められた。 2 Western blotting KSに対する反応は,G1-extractにおいて分子量約72kDaと200kDa以上のバンドに中等度の反応が認められ,mineral相に存在するタンパクを反映するE-extractには分子量約72kDaのバンドに軽度の反応が認められたが,matrix相に存在するタンパクを反映するG2-extractには反応が認められなかった。コンドロイチン4-硫酸とデルマタン硫酸に対する反応を検出すると,G1-extractには45,60,110kDa付近と200kDa以上のバンドに反応が認められ,またE-extractおよびG2-extractには,いずれも45kDa付近のバンドに反応が認められた。 コンドロイチン6-硫酸またはコンドロイチンに対する反応を検出すると,G1-extractには反応が認められたが,E-extractおよびG2-extractには反応するバンドが全く認められなかった。 3 KSPGの分離・精製 平成8年度にE-extractに同定した分子量約72kDaのKSPGの分離を継続して行っている。 4 結論 鶏胚大腿骨においては,分子量約72kDaの小さなサイズのKS含有PGが主にmineral相に存在し,また,コンドロイチン4-硫酸およびデルマタン硫酸鎖を含有し,コアプロテインの分子量が約45kDaである小さなPGが主にmineral相とmatrix相に存在し,形態学的にはこれらのPGは主に類骨,骨細胞表面,骨小腔壁,骨細管壁に存在することが判明した。
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