研究課題/領域番号 |
08672113
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
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研究機関 | 国立予防衛生研究所 |
研究代表者 |
西原 達次 国立予防衛生研究所, 口腔科学部, 歯周病室長 (80192251)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 歯周炎 / 歯周病細菌 / 感染症 / 炎症性疾患 / マクロファージ / 細胞内pH / アポトーシス / プロトンATPase |
研究概要 |
我々の研究グループでは、歯周病原性細菌であるActinobacillus actinomycetemcomitansを感染させたマクロファージをin vitroで培養すると、アポトーシスが引き起こされることを明らかにした。さらに、感染マクロファージのアポトーシス発現には、本菌が細胞内に取り込まれることが必須であることを見い出した。一般に、マクロファージに取り込まれた細菌は、細胞内小器官であるファゴゾームやファゴリソゾーム内で処理される。その際、これらの小器官内の酸性顆粒が貪食された後の細菌の消化に重要な役割を果たしていることは広く知られている。そこで、A.actinomycetemcomitans感染マクロファージを培養する時に、細胞内小器官の酸性顆粒保持機能を担っている液胞型プロトンATPaseを特異的に阻害するコンカナマイシンAを添加して、感染マクロファージのアポトーシス発現にどのような影響を及ぼすかを調べた。まず、マクロファージ細胞株J774.1細胞にコンカナマイシンAを作用させたところ、細胞内小器官の脱顆粒現象が蛍光顕微鏡で観察され、マクロファージ細胞内のpHが変動している可能性が示された。次に、コンカナマイシンAで処理したJ774.1細胞にA.actinomycetemcomitansを感染させ、致死活性をMTTアッセイで測定したところ、処理したコンカナマイシンAの濃度に依存して致死活性の増強が認められた。アガロースゲル上でのDNA断片化像、フローサイトメーターおよびTUNEL法で、コンカナマイシンA処理により、A.actinomycetemcomitans感染マクロファージのアポトーシスが増強されることを明らかにした。さらに、細胞内pHを上昇させるイミダゾールをA.actinomycetemcomitans感染マクロファージの培養系に添加したところ、その後に引き起こされるアポトーシスは有意に抑制された。以上の結果から、A.actinomycetemcomitans感染マクロファージに見られるアポトーシス誘導の過程で、細胞内pHの変動が重要な調節機能を果たしている可能性が強く示唆された。
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