研究課題/領域番号 |
08672124
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高橋 浩二郎 岡山大学, 歯学部, 助教授 (00144775)
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研究分担者 |
滝川 正春 岡山大学, 歯学部, 助手 (20112063)
服部 高子 岡山大学, 歯学部, 教授 (00228488)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 軟骨肉腫 / 軟骨細胞 / IGF-2遺伝子 / インプリンティング / 転写制御 / 転写制御因子 / インブリンティング |
研究概要 |
血管のない軟骨組織の細胞の増殖分化においてオートクリン的成長因子であるIGF-2の役割は重要である。そのIGF-2の機能究明を目的として、ヒト軟骨肉腫由来軟骨細胞様細胞株HCS-2/8細胞におけるIGF-2遺伝子(IGF-2)の発現制御を調べた。ヒト軟骨細胞ではIGF-2の4個のプロモーターがすべて発現していて、塩基配列が未定の2番目プロモータを除いた残り3個のプロモータの転写制御領域上にはEGRI(Early Growth Response Gene Product 1)、SP-1(Specificity Protein-1)、WT1(Wilms Tumor Suppresor)に対する複数個のコンセンサスな結合部位が存在している。HCS-2/8細胞でのIGF-2発現に対するこれらの転写制御因子の効果を検討するために行ったRT-PCRの結果は、SP-1の発現は正常軟骨細胞でも肉腫由来細胞株でも同様にほんのわずかであったが、EGRIの発現では正常軟骨細胞より肉腫由来細胞株の方がやや高く、WT1の発現では逆に正常軟骨細胞の方が肉腫由来細胞株より少し高かった。これらのことから、肉腫由来株HCS-2/8細胞では初期培養相での増殖に対するEGR1のポジティブな作用増強とWT1のネガティブな作用減少との相乗効果によってその肉腫由来細胞株の異常増殖が誘起されているものと推察された。 また、軟骨細胞系の一種の分化因子であるアスコルビン酸の効果は、HCS-2/8細胞ではIGF-2、H19(Tumor Suppresor)、EGR1、SP-1、WT1の発現を増加し、軟骨細胞の分化マーカーの10型コラーゲンα1鎖、アグリカン、アルカリホスファターゼの遺伝子発現も増加したけれども、2型コラーゲンα1鎖の遺伝子発現は減少させていた。これらの結果は、アスコルビン酸は軟骨細胞系において分化因子であるとともにその初期増殖においても増殖因子的な機能も有している可能性を示している。 一方、HCS-2/8細胞でのIGF-2のインプリンティング状態はすべてのプロモータとも父親由来のアレル発現に対応し、その過剰発現とは直接的な関連性は存在していないようであった。また、ヒト染色体11p15.5領域のインプリンティング・クラスターの中のCDKNIC(p57^<KIP2>)においては、父親由来のアレルではそのPAPA領域に欠損が認められたが、発現は母親アレルの正常な長さの型であった。
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