研究概要 |
<研究目的・方法> ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットの実験的歯周炎が血糖コントロールによって受ける影響を検索することである。普通飼育ラットの辺縁歯肉にゴム輪で刺激を加えた後,非糖尿病(N-DM)群,STZにより血糖値を上昇させた糖尿病(DM)群,さらにSTZにより上昇させた血糖値をインスリン投与により改善させた糖尿病-インスリン(DM-I)群に分けた。ゴム輪挿入の14および28日後にラットを屠殺し,血糖値の測定(随時血糖値),病理組織学杓および組織計量学的検索を行った。このじっけんは普通飼育と無菌飼育ラットの両方について行われた。 <結果> 病理組織学的所見からDM群ではN-DM群に比較して歯周組織の炎症性変化が著明であったが,DM-I群ではN-DM群と同程度であった。歯槽骨の面積計測の結果,歯槽骨吸収量はDM群>DM-I群≧N-DM群であり,DM群と他の2群との間には統計学的有意差があった。以上より,普通飼育糖尿病ラットにインスリン投与を行うと機械的刺激と口腔内細菌に由来する刺激で生じた歯周組織の炎症性変化および揖傷の程度が軽減することが示され,血糖コントロールの重要性が示唆された。無菌動物との比較では,同様な結論であったが,口腔内細菌の影響は糖尿病群でさらに顕著であった。
|