研究概要 |
咬合支持域とガイドの変化による咀嚼筋活動と顎運動への影響を調べることにより咬合が顎機能異常にどのように関与するかを具体的に解明することである。 平成8年度における研究目標は,咬合支持域の相違が閉口筋群(内側翼突筋,咬筋,側頭筋)の生体力学的バランスに与える影響を調べることである。先ず,上記の筋群の中でも活動の導出が困難な内側翼突筋について活動を導出するために電極の試作,改良と導出部位活動に再現性を与えるため電極刺入装置の開発を行ない,実用化に至った。試作双極針電極(短径0.25mm長径0.47mm)は針麻酔針を使用することで簡便に製作が可能であり,画鋲型としたことで刺入時の操作性に優れている。さらに,筋内部からの筋活動導出電位記録は安定したものであった。刺入方向指示装置により内側翼突筋の起始部の位置を口腔と関係づけることが可能になり,術者の経験を必要とせず,確実に電極を内側翼突筋の定位置に到達させることを可能にした。 現在、咬合支持部位の違いが,閉口筋群の活動バランスに与える影響を調査中である。途中経過であるが,咬合支持部位を変化させると,内側翼突筋の活動は他の閉口筋と異なり,独特な活動を示すことが明らかになっている。 以上の成果は,第94,96回日本補綴歯科学会学術大会で報告,補綴誌(40:933-939,1996)に発表した。
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