研究概要 |
チタン鋳造によるクラウンブリッジの作成は,その形態の複雑さから,健全な鋳造体を得ることが非常に困難とされている.しかもその改良が経験に頼っている部分が多く,一般的な解決法が未だ見つかっていない.本研究においては,標識元素溶解法を用いて,クラウンブリッジ内のチタン湯流れを観察することで,適切な鋳造方案作成の情報を与えるものである.上記科学研究費補助金による研究により,以下の実験結果が得られた. 1.単独クラウン内のチタン湯流れに関しては,遠心鋳造と加圧鋳造では明らかな違いがあり,遠心鋳造は形態的な因子よりも,遠心力の作用方法によって,溶湯充満過程が支配され,加圧鋳造では形態によって流れが決まる. 2.それらの流れを反映し,それぞれ内部欠陥が発生するが,遠心鋳造では非常に小さい欠陥であるのに対し,加圧鋳造では数は少ないが比較的大きい. 3.クラウンブリッジ内のチタン溶湯の流れは,さらに複雑で,遠心鋳造の場合,回転初期の加速運動の影響を受けて充満し,欠陥は遠心力作用方向と反対側に集積する. 4.加圧鋳造ではランナーバーの形態によって,鋳造性,および内部欠陥が大きく作用される.これはスプル-からランナーバーに流入した溶湯の圧力が解放されるため,キャビティ内への駆動力が不足するためと考えられる. 以上の結果から,遠心鋳造の場合,パターンの埋没方向とスプル-の取り付け位置が,加圧鋳造ではランナーバーの形態(大きさ)が,健全な鋳造体を得るために重要であることが分かった.
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