研究概要 |
耐食性に優れた合金であっても、応力下や間隙に置かれた場合は耐食性が劣ることが知られている。口腔内で使用される合金は常にこの様な環境にあり、隙間腐食について明らかにすることが口腔内での合金を評価する一助となる。そこで、CPチタン、Ti-6A1-4V合金、Ti-Ni合金、TypeII金合金、TypeIV金合金、金銀パラジウム合金、Ni-Cr合金(硬質)、Co-Cr合金、を試料とし、電気化学腐食測定装置(PotentiostatModel273 & Corrosion software M352C:PARC)を用い、0.9%NaClと1%乳酸の混合溶液中でのアノード分極、孔食電位および分極抵抗を測定した。 溶液中でのアノード分極の結果、チタン系合金の自然電極電位は-0.1V〜-0.6Vの範囲にあり、経時的に貴となる傾向にあった。TypeIV金合金、金銀パラジウム合金は0.07V〜0.12Vの範囲にあった。Ti系合金の24時間後の分極抵抗は30〜50×10^5Ohm・cmの範囲にありTypeIV金合金、金銀パラジウム合金より大きな値を示した。アノード分極の結果、Ti系合金の不動態破壊電位はTiよりも低いが、全て1.0V以上にあり孔食の発生を認めなかった。TypeII金合金,TypeIV金合金およびCo-Cr合金では800mV,金銀パラジウム合金とNi-Cr合金(硬質)では200〜300mV付近に過不動態電位が存在した。 今後ASTMの隙間腐食測定方法に準じた方法で0.9%NaClと1%乳酸の混合溶液中での隙間腐食電位を測定することによって孔食電位および分極抵抗との関係を評価しすると共に金属元素溶出量ならびに走査電子顕微鏡による表面観察を行い、隙間腐食挙動を明らかにする予定である。
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