研究概要 |
エレクトリック・コンデンサー型マイク,マグネチック型イヤホン,拡散型半導体圧力センサを内蔵するプローブにより,下顎の開閉運動路の下顎頭運動に伴う中耳伝音系の音響刺激(226Hz80dBSPL)に対する反射の変化を経時的に連続して測定する.すなわち,動的中耳コンプライアンスの変動波形として表現するシステムを構築し,下顎に固定する距離センサ部は超音波距離センサと振動子との組合せにより距離を読み取りコンプライアンス波形に対する距離を表示する。試作型では,健常者の測定の結果,再現性が認められ,波形上に明確な3つの極値が示された。この結果は教室の静的および動的インピーダンスの変化の報告に一致した。咬合支持喪失例では,4つの極値を認め,下顎の終極蝶番運動軌跡上の2つの極値の距離の値の関係から,咬合こう径を客観的に把握することが可能と考えられた。距離の読取り,咬合器上への転写方法,精度など,多少の改善の必要性も示されたことから,更に検討・改良を加えたい。しかし,基本的な波形の振幅,極値の出現は静的・動的インピーダンス測定の結果に一致していることから第4の極値が下顎安静位との距離,関節円板の下顎頭運動における動態をも把握できる可能性が十分にあると考えられる。現在,226Hzに加え,500Hz2つの応答を検討中であり,好結果が示唆されている。
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