研究概要 |
歯科用材料,特に接着性レジンモノマーによる遅延型アレルギーの誘発に関して追求するため,遅延型アレルギーを誘発する標準物質であるDNFB,接着性レジンモノマーであるMAあるいは4-METAを生体タンパクの一つであるBovine Serum Albumin(BSA)と混合し,その相互作用についてNuclear Magnetic Resonance Analysisにより検討した.混合直後にchemical siftが認められ,その相互作用からいずれの物質ともHaptenなりうることが示唆された.ただし,MAと4-METAで認められたShiftはDNFBよりも低いレベルであった. MAおよび4-META誘導遅延型アレルギーによるマウス耳介厚径の時間的推移は,典型的な遅延型アレルギーのパターンよりも早期に立ち上がることを示した。また,マウスハプロタイプの相違によって応答レベルが異なることを示した. 感作部位における免疫組織化学的検討では,CD4^+T細胞およびCD8^+T細胞が検出され,CD8^+T細胞に比較してCD4^+T細胞の構成比率が優位であった.しかし,DNFB感作群よりも検出頻度は低かった. 各感作群における抗体産生細胞数をEnzyme-Linked Immunospot(ELISPOT) Assayにより検討したところ,ポリクローナルな抗体産生がIgM,IgG1,IgG2a,IgG2b,IgG3,IgAとも若干であるが上昇を示し,Ajuvant活性があることを示唆した.さらに,感作群における特異的抗体産生細胞がIgMおよびIgG1において特に顕著に認められ,Haptenの皮膚感作によって体液性免疫応答が誘導されることが示唆された.
|