研究概要 |
三叉神経伝達麻酔を併用した口腔外科手術の全身麻酔、その術後鎮痛対策、そして顎顔面疼痛患者の沈痛法として、間欠的、または持続的に薬剤を注入することにより三叉神経伝達麻酔法の効果を持続的に発現ならしめるシステムの開発を目的とした。 2種類のカテーテルキットを試作した。それはカテーテル、カテーテルイントロデューサー、結合アダプター、カテーテル刺入針からなる。カテーテルは30G(A type),28G(B type),26G(Type C)のものを制作した。 本学歯学部附属病院で口腔外科手術を受ける患者を対象とし、静脈内沈静法下、留置用カテーテルを下顎神経の極近傍に挿入した。カテーテル段端は、体外に導き、その段端のカテーテル内に局所麻酔薬を投与し、伝達麻酔が奏効しているかを判定した。 カテーテル挿入性の手技ぎ、薬剤投与性の容易さからC Typeのものが優れていると結論した。本法が奏効しているか否かを薬剤注入後の感覚鈍麻、知覚消失を調べて評価したところ、12例中9例が奏効していた。奏効していなかった3例は、いずれもカテーテル留置の際、刺入針の位置の確認が不十分なものに限られていた。 また1例はカテーテルよりアルコールを注入し、下顎神経の神経遮断を為し得た。 平成9年度は持続型上顎神経伝達麻酔法の開発に着手した。カテーテルはC Typeを使用した。対象患者ならびに基本的方法は下顎神経の場合と同様であるが、カテーテル先端を翼口蓋窩に設置するようにした。5例の患者に適応したところすべての患者で上顎神経支配領域に感覚鈍麻、知覚麻痺が得られた。 カテーテル留置は最長14日に及んだが、感染等の副作用は認めれら無かった。 本法は臨床応用が十分可能と結論した。
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