研究概要 |
1)扁平上皮癌細胞の増殖に及ぼすEDINの影響 HSC-2,HSC-3,HSC-4と当科で樹立したFukuda株を用いて1%および10%FCS存在下でEDINが細胞増殖に与える影響を検討した。1%FCS存在下でEDINを100,250,500ng/ml添加するとHSC-2,HSC-4はcontrolに比べわずかに増殖傾向を示した。10%FCSでは差がなかった。 2)扁平上皮癌細胞の細胞運動と浸潤に及ぼすEDINの影響 HSC-3,Fukuda,H357parental,H357PRC,H376β4-8,H357V6の細胞運動をEDIN添加・非添加でInterval VTRを用いて記録した。EDIN250ng/ml添加した場合,6〜9時間培養後H357PRCとH357 V6はコントロールに比べ広い範囲での細胞運動を認めた。他の株はコントロールと差がなかった。コラーゲンゲル内浸潤能は,いずれも細胞株もEDIN添加と非添加で差がなかった。 3)ADP-リボシル化タンパクの検索 培地中にEDIN添加,非添加で培養後,細胞をホモジェネートし〔^<32>P〕NAD存在下でEDINを作用させた。オートラジオグラフィーの結果,HSC-2,HSC-4はEDIN添加,非添加で差がなく,培地に添加してもEDINは細胞内に取り込まれない可能性が考えらえた。Fukuda株では,培地に添加したEDINの量が250ng/mlまでは,EDINの量はADPリボシル化された21-22kDaのバンドの強さと相関を示した。 4)扁平上皮癌の分化に及ぼす影響 KB細胞を用いた細胞膜透過モデルを作成し,EDINがCDDPによる分化誘導を抑制するか検討した。方法は,形態変化の観察とELISA法でinvolucrin量を測定することで行った。EDIN添加と非添加でinvolucrin量に差はなかった。またCDDP濃度とinvolucrinの間に相関は認めなかった。
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