研究概要 |
(1) 照射骨へのインプラントの適用における高圧酸素(HBO)療法の効果の検討 本研究では放射線照射骨に対するインプラント体埋入時のHBO併用効果について基礎的に検討した.実験には9週齢のWistar系ラット40匹を用い,照射には東芝社製メバトロン5800-3WMを用い,右脛骨に照射野2x5cmにてリニアック15Gyの1回外照射を行った.照射より4週経過した後,HBO施行群には1:2.4Ata,60分,10fr./週,計30回のスケジュールでHBOを施行した.この間HBO開始より1週間後の時点で各ラットの両側脛骨近位骨端部にヒドロキシアパタイトインプラントを埋入した.観察期間は1,2,4,8,12週とし,一定期間経過後に屠殺し,非脱灰研磨標本を作製し,組織学的および骨形態計測学的検討を行った.その結果,照射後にHBOを施行した群では非施行群と比較し,新生骨とインプラント体との結合が早期に生じており,HBOの有効性が示唆された。 (2) 照射線量と高圧酸素療法との関連について 本研究では,照射線量の違いとHBOの有無が埋入したヒドロキシアパタイトインプラント周囲の組織反応にどのような影響を与えるかについて検討した.実験には9週齢のウィスター系ラット40匹を用い,東芝社製メバトロン5800-3WMを用い,右側脛骨に対し,15あるいは25Gyの一回外照射を行った.3か月後,照射側および反対側の非照射側の脛骨近位骨端部にヒドロキシアパタイトインプラントを1本ずつ埋入した.各群10匹に対し,1回2.4Ata,60分間,2回/日,10回/週のスケジュールで,術前20回,術後10回のHBOを施行した.観察期間は1,2,4,8,12週とし,一定期間経過後に屠殺し,非脱灰研磨標本を作製し,組織学的および骨形態計測学的検討を行った.その結果,照射線量が増加するに従い,HBOの効果が限定されてくることが明かとなった.
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