研究概要 |
Cariostatと齲蝕の関係について数多くの報告があるが,歯周疾患との関係については少ない。学童期における歯肉炎の多くは,不潔性歯肉炎であり,齲蝕と同様プラークが原因である。そこで中学生437名を対象に,齲蝕活動性試験Cariostat及び唾液潜血テストSalivaster潜血用を行い,歯肉炎との関係について調査した。 1)Cariostat(24H)においては,歯肉炎と高度の相関関係が認められた(P<0.001)。 また歯肉炎の程度より3つに群分けしCariostat(24H)との関係をみたところ,有意な分布の差が認められた(X^2検定P<0.001)。 2)Cariostat(48H)においては,歯肉炎との間に相関関係が認められた(P<0.05)。 しかし歯肉炎の群分けにおいては,Cariostat(48H)に有意な分布の差が認められなかった。 3)Salivastarは歯肉炎とは相関関係が認められた(P<0.05)。 歯肉炎の群分けにおいては,Salivastarには有意な分布の差が認められなかった。 4)Cariostat(24H)とSalivastarの間には,有意な関係が認められなかった。 5)不正咬合の存在は歯肉炎と大きく関係していた(P<0.001)。 6)継続的指導の結果,歯肉炎非改善群には,18.8%の不正咬合を持つものが存在し,改善群には,1.2%であった。 歯垢を試料とするCariostatは,口腔内の汚染度を示す一つの指標と考えられ,齲蝕だけでなく,歯肉炎とも関係が深いことが考えられた。また不正咬合は,歯肉炎と関係が深いことが示唆された。
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