研究概要 |
障害の種類あるいは薬剤投与の有無が小児期の歯肉由来繊維芽細胞の生化学的特性に与える影響を検索するため,歯周疾患や組織修復に関連の深いサイトカインであるInterloikin-1β(IL-1β),Interloikin-6 (IL-6),Tumor Necrosis Factor-α(TNF-α),Epidermal Growth Factor (EGF), b-Fibroblast Growth Factor (b-FGF), Platelet Derived Growth Factor (PDGF), Transforming Growth Factor-β(TGF-β)の7種類を用いて検討した. 研究の対象は染色体異常や全身的問題を持たない精神発達遅滞児(コントロール群),抗てんかん薬服用児(薬物服用群),ダウン症候群児の臨床的に正常な歯肉片を試料とした. その結果,コントロール群,薬物服用群の細胞増殖能に顕著な差は認められなかった.しかし,ダウン症候群においては,歯肉細胞の継代培養において良好な歯肉由来繊維芽細胞を得ることが極めて困難で各種サイトカインを作用させる実験により不遍的な結果を得ることはできなかった. 歯周疾患と関連の深いサイトカインであるIL-1β,IL-6,TNF-αに対して薬物服用群がコントロール群に比して強い増殖抑制傾向を示した.細胞修復因子であるEGF,b-FGF,TGF-βに対し薬物服用群はコントロール群に比して低い細胞増殖能を示した.
|