研究概要 |
C_2対称光学活性ジオール由来のアセタールを利用して生成させたキラルなオキソニウムイオンを利用する不斉合成反応の開発とその応用について検討し、有機合成において非常に重要な課題であるにもかかわらずその報告例が極めて少ない、、遠隔位(1,4-,1,5-位)での立体選択的不斉誘導反応の開発に成功した。 すなわち、4-ペンテナ-ルをキラルなヒドロベンゾインでアセタール化して合成したキラルなエンアセタールに対し、ヨードニウムイオンをアルコールの存在下に反応させると、まずI^+が二重結合に攻撃して生成するカルボカチオンにアセタールの酸素原子が攻撃して、キラルなオキソニウムイオン中間体を形成する。ついでアルコールがアセタール炭素を攻撃して、1,4-位に新たに2個の不斉中心が生成した8員環アセタールが高ジアステレオ選択的に得られることを見出した。この混合アセタールのアルコキシ基を炭素求核種で立体選択的に置換した後、ジフェニルエチレン部を除去することにより、光学活性1,4-ジオールへ導くことに成功した。さらに、本法を5-ヘキセナ-ルへと適用し、光学活性1,5-ジオール類の合成にも成功した。なお、この場合にはC_2対称光学活性ジオールとして、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオールが好結果を与えた。さらに、本法の天然物合成への応用について検討し、フシアリの毒ぼ1成分であるsolenopsin Aの形成合成を達成した。またジャ香の成分の1つである光学活性環状エーテル、(2S,6S)-2-(6-methyltetrahydropyran-2-yl)acetic acidの合成にも成功した。
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