研究概要 |
この研究では,研究代表者が行ってきた新規ポリオールと研究分担者の行ってきたエンジイン構造の合成を組み合わせて,課題の化合物設計を行ってきた。今まで得られたエンジイン構造合成経路の実験結果に基づき,合成を進めているうちに合成経路において問題が起こった。そこでその解決をはかるために新たなエンジイン構造の合成手法を詳細に検討し,成功した。(Chem.Pharm.Bull.に報告してまとめた。)その後,その新規合成経路に基づき,ポリオール部位の導入として,芳香環部位にまずカルボキシル基を有する誘導体を作り,それを足がかりにアミノ基を有するポリオール部位の導入を図ったが,得られたアミド官能基がその後の化学変換反応において問題となり,この経路は一時的に断念した。次に芳香環にヨウ素を置換した誘導体を出発原料にして,そのヨウ素位置を足がかりにポリオール部位の導入を試みた。その結果,末端アセチレン部位を有するポリオール部位とヨウ素化芳香環との間をパラジウム触媒を用いたカップリング反応によって結合させる事に成功し,エンジイン部位中間体とポリオール部位をつなげた構造を得る事が出来た。2つの部位は炭素-炭素結合でつなげたため、その後の変換反応に支障が出ず,実際何段階かの行程を経て反応を進めて行き,ほぼ最終的な目的物の合成の目途が付いた。今後はこれを生理活性試験に供給できるようなレベルで合成量を増やす事とポリオール部位にバラエティーをつけて,水溶性-生理活性相関における検討を行う直前の段階である。
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