研究概要 |
イリドの[2,3]シグマトロピー転位を利用した環拡大反応を行った. 1.ベンゼン間と7,8あるいは9員環アミンが縮環した3種の化合物,N-[(trimethylsilyl)-methyl]-2-benzocycloammonium塩類を合成し,それらにフッ化セシウムを反応させて対応するN-methylde類を発生させた.その結果,7員環からは[2,3]シグマトロピー転位によってイソトルエン構造をもつスピロ化合物とstevens転位による1炭素増環したアミン化合物が生成した.8員環アミンからは7員環からの生成物に対応するスピロ化合物と1炭素増環アミン以外に,イソトルエン構造で且つ駕篭状構造を持つ特異な構造の化合物が生成した.9員環アミンからは8員環の反応で見られたのと同様な特異構造化合物が生成し,他に1炭素増環アミンが生成した.この特異構造化合物は高いひずみを持つにも関わらず生成することは大変興味深い結果で有り、計算化学によって反応追跡を行った. 2.1-[(Trimetyhylsilyl)methy1]-2-(2-thienyl)pyrrolidinium塩とフッ化セシウムの反応によって,N-methylideを発生させた.その結果イリドの[2,3]シグマトロピー転位体が生成するが,5員環アミンが環拡大した8員環部分で炭素-窒素結合が起こり,チオフェン環+ピロリジン環+ピロリジン環の3縮環化合物に変化する大変興味ある挙動を示すことが明らかになった. 3.3-(2-Thienyl)-4-[(trimethylsilyl)methyi]-1,4-oxathianium塩とフッ化セシウムの反応によってイリドを発生させると,[2,3]シグマトロピー転位体として,チオフェンと酸素と硫黄を含む9員環の縮環化合物が高収率で得られた.
|