研究概要 |
1.2-Benzocycloammoniumu N-methylideの[2,3]シグマトロピー転位反応では,架橋構造化合物とスピロ構造化合物が生成し,その生成比は環の大きさに影響された.AM1により解析されたイリド構造では反応選択性を予測できず,遷移状態の解析が必要であった. 2.N-Substituted-N,N-dimethylammonium N-benzylideのStevens転位反応では,窒素上の置換基が収率に大きな影響を与えた.AM1とPM3によってR-N+結合の解離エネルギーとStevens反応の容易さの関連をを調べたが,見出せなかった. 3.Sommelet-Hauser転位とアリル転位反応をAM1法とPM3法を用いて詳細に調べた.両法ではやや異なる反応過程を示すことが判明した.Sommelet-Hauser転位反応は協奏的でなく段階的に進行する反応である可能性が出てきた.アンモニウムイリドと硫黄イリドのシグマトロピー転位では反応性に差があることが実験的によって示された.硫黄イリドの構造,電子状態はGaussian94を用いて解析をおこなった.実験結果を解析するに当たり,計算より得られた知見は大いに参考になった.しかし,B3LYP/6-31G^*法は,多大な計算時間を必要とし,遷移状態の解析にまで至ることができなかった.B3LYP/6-31G^*法を用いた研究は現在継続中である.
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