研究概要 |
医薬品添加物の物理化学的特性が溶解性や成形性などの製剤特性に与える影響とその保存条件下における安定性を定量的に検討し,その機構と溶解性の関係を解明する方法を学問として確立することは高品質の医薬品を製造するために極めて重要である.カルバマゼピン,ペントキシフェリン,ピレタニドなどの医薬品の結晶転移現象について速度論的解析を試み,これらに医薬品添加物が影響を与えるとの多くの重要かつ興味ある知見を得ることにより医薬品における添加物との相互作用を体系化し,国際的な医薬品申請データのハ-モナイゼイションを行うための製剤の安定性評価法の基準を確立するための基礎的資料とすることができた. 1)練合溶媒としての添加物の溶解特性に与える影響と練合処理による多形転移に伴う原末の溶解性の変化をカルバマゼピン,ペントキシフェリン,ピレタニドなどの医薬品の結晶転移現象溶出実験によって溶解速度論的に解析検討した. 2)添加物との粉砕処理によるイドアジドスルホン酸ナトリウム・リン酸ピリドキサールカルシウム散の着色変化に及ぼす 混合様式の影響と多形転移に伴う原末の溶解性の変化をメカノケミカル効果として解析検討した. 3)フィトナジオン輸液の光安定化設計をおこなうため薬物の溶液中の分解機構と分解速度を検討した後,薬物の安定性を向上させるために脂溶性ビタミンの添加により光による分解抑制した. 4)圧縮中あるいは粉砕処理中のカルバマゼピン,ペントキシフェリン,ピレタニドなど多形転移に伴う成形体表面の結晶の形態学的変化への添加物,乳糖,結晶セルロース,リン酸カルシウムなどの影響を走査型電子顕微鏡で観察した.また,あわせて比表面積や成形体内部の空隙率変化をポロシメータを利用し測定し,結晶形との関係を検討した.
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