研究課題/領域番号 |
08672507
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高野 幹久 広島大学, 医学部, 教授 (20211336)
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研究分担者 |
村上 照夫 広島大学, 医学部, 助教授 (20136055)
東 豊 広島大学, 医学部, 助教授 (90127697)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1996年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 発育 / 腎尿細管 / 刷子縁膜 / 有機カチオン輸送系 / テトラエテルアンモニウム / 膜流動性 |
研究概要 |
一般に小児、特に未熟児、新生児では、腎機能が成人に比べて未発達であり、薬物による副作用が発現しやすい。腎臓は薬物の排泄に重要な臓器であり、そこでの薬物挙動は薬物の生体内動態、薬効・毒性発現に大きく影響する。しかし腎機能が生後どのような過程をたどり、またどのような機構によって機能的成熟を遂げるのか詳細は明らかでない。本研究では、個体の発育に伴う腎機能の変化、特に薬物腎排泄に重要な役割を果たしている有機カチオン分泌系の活性変化について解析した。 生後2、3、4週齢(suckling)及び7-8週齢(adult)のラットから腎臓を摘出し、尿細管刷子縁膜小胞を調製した。2週齢およびadultラットの腎皮質ホモジネートならびに刷子縁膜小胞の指標酵素活性を測定したところ、2週齢ラットではホモジネート中の刷子縁膜酵素活性はadultに比べて低いものの、刷子縁膜の精製度としては、両動物群とも15倍以上であり充分精製されていることが示された。得られた膜小胞を用い、有機カチオン、タトラエチルアンモニウム(TEA)の輸送活性を測定したところ、2週齢でもプロトン勾配依存性の能動輸送が観察された(プロトン/有機カチオン逆輸送)。また、阻害実験の結果から、これらグループ間でTEA輸送系の基質認識性、親和性等に変化はないものと考えられた。しかし、輸送活性は2週齢、3週齢と発育によって上昇し、4週齢でほぼadultレベルに達した。さらに、2週齢ラット刷子縁膜の流動性はadultラットに比べて高いことを見いだした。報告者は既に膜流動性の上昇は腎刷子縁膜の有機カチオン輸送活性の低下をもたらすことを明らかにしており、発育に伴う刷子縁膜流動性の変化が有機カチオン輸送活性上昇の一制御因子になっている可能性が示された。
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