研究概要 |
本研究は、ホルモンの細胞内情報伝達因子として重要なCa^<2+>の細胞内作用を制御する蛋白質であるレギュカルチン(regucalcin;RC)の遺伝子発現とその調節機構について明らかにすることを目的とした。2年間の研究により得られた知見を以下に要約した。 1.レギュカルチン(RC)は、単離肝細胞核のRNA合成を有意に抑制することが見出され、RCが核RNA合成の制御因子として役割を果している可能性が示唆された。 2.クローン化したヒト肝癌細胞(HepG2)において,RCmRNAとその蛋白質が発現されていることを見出した。HepG2細胞培養系でのRCRNAの発現はインスリンによって促進されることが明らかになった。 3.マウス肝臓のRCのcDNAをクローニングした。マウスRC遺伝子の塩基配列とアミノ酸組成は,ラットのそれの94%のホモロジーがあった。マウス肝RCmRNAの発現はCa^<2+>の腹腔内投与によって増大された。 4.RC遺伝子の転写開始部位上流に結合する因子をゲルシフトアッセイ法により同定した。レギュカルチンDNA断片とラット肝細胞核抽出液との反応により,その結合因子が存在することを明らかにした。 5.Ca^<2+>のラットに投与したときの肝臓の核抽出液とRC DNA断片との結合性について調べると,AP-I蛋白質がRC遺伝子の転写開始上流域に結合することが見出された。
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