研究概要 |
本研究は、古来から万病の薬として用いられている薬用人蔘の薬効を科学的に証明することと、その薬効に基づき薬用人蓼を新しい薬として応用するのが目的である。以前の結果(和漢医薬学会誌9、236-239(1992);J.Pharmacol.Exp.Ther.273,629-636(1994))を踏まえて、当該年度で次に示す薬用人蓼の新しい薬効を見い出した。 1.受容体刺激による組織の応答に対する代表的な薬用人蔘サポニン(ジンセノサイド(G))の効果を調べたところ、トリオール系のGRg_2はニコチン性アセチルコリン受容体刺激一応答のみを抑制するのに対し、ジオール系のGRg_3は各種刺激による反応に抑制的に働いた。一方、それぞれオレアノール酸系とジオール系サポニンのGRoやRb_1はそれらに対し、ほとんど影響しなかった。 2.ジオール系サポニンの中で例外的にカテコールアミン(CA)分泌阻害活性の強かったGRg_3の阻害の性質を調べたところ、ほとんどの点でGRg_2と同じ性質を示した。これは、GRg_3もRg_2と同様に副腎髄質のニコチン性アセチルコリン受容体作動性カチオンチャンネルをブロックし、CA分泌を阻害していることを示している。 3.人蔘サポニンによるCA分泌阻害効果には構造一活性相関があること、また他の植物サポニンには、CA分泌抑制効果は認められないこと、したがってCA分泌阻害は薬用人蔘サポニンのユニークな性質であることがわかった。 4.内分泌系モデルの牛副腎皮質細胞のコルチゾール合成をサポニン画分が抑制した。現在どのサポニンがその効果を発揮しているのか作用メカニズムも含め検討中である。 また、薬用人蔘のポリサッカライド刺激によるリンパ球のサイトカイン合成に対する影響並びに人蔘及び人蔘サポニンの抗ストレス作用をラットを用い調べている。
|