研究概要 |
【1.研究用ネットワーク基盤の敷設と既存ネットワーク基盤の再構築】平成8年度には10BASE-Tケーブルで敷設したICUにおける電子ケルテのプロトタイプを実施するための電子カルテ用の専用LANを敷設した.平成9年度は医療情報部にある患者基本情報,検査情報,感染情報などのデータベースサーバーである病歴サーバーと接続した.また放射線部および検査部とのコンピュータとも病歴LANを経由して接続した. 【2.電子カルテネットワーク環境の整備】サーバー機を設置しWINDOWS NT4.0を導入した.このサーバー機に主要クライアント機であるWINDOWS95マシンおよびMachintoshマシンをそれぞれプロトコルで接続した. 【3.他のネットワークとの接続による効用】1)医療情報部病歴サアーバーとの接続:マイクロソフトアクセルベーシックで開発した検査処方閲覧ソフトを利用して,医療情報部にある病歴サーバーを中央診療部門であるICUで利用できるようにした.2)検査部,輸血部コンピュータとの接続:パラメディカルスタッフがカルテサーバーにアクセス可能にし,ICUに入室している患者のカルテが閲覧できる環境にし,検査および輸血を受ける人の病態が把握できるようにした.3)放射線部コンピュータとの接続:放射線部のファイルメーカープロに蓄積されているCT,MRの画像で-たべ-すに患者ID番号で電子カルテ端末よりアクセスを可能とし,その所見の閲覧やカアルテへの引用を可能とした.4)各診療科,手術室との接続:病棟,医局,手術室や総合治療センターにある病歴ネットワーククライアントカラ,病歴サーバーにアクセスしマイクロソフトアクセスの申し込み書テンプレートに書き込むことで申し込みが完了できるようにした. 【4.電子カルテソフトの充実】1)疾患別連プレートの作成:MachintoshおよびWINDOWS95用共通ワープロソフトであるマイクロソフトワードにより既存のコンピュータで電子カルテの一般業務を従来通り行った.これによりワープロで実際にカルテを作製しつつ,患者基本後方,必要テキスト情報をどのような入力形態にするのかの検討をし,疾患別テンプレートを作成した.2)入力方式の検討:マクロソフトワードの入力支援機能を利用し,治療内容,検査内容などのテンプレートを作成し電子カルテへの入力を簡素化した.3)メニュー形式:電子カルテに必要な機能をメニュー形式で選べ実行できるようにするWINDOWS用開発ソフトをマイクロソフトアクセス,オフィスとの連携を容易にするためVisual basicで作成した. 【5.本研究の結果と意義】厚生省の電子カルテ開発プロジェクトの目標は診療情報の共有化と記録の標準化を目的としているが,集中治療などチーム医療が重要となる中央診療部門では診療情報の共有化により多くのメリットがある. 本研究にゆおり構築されたシステムは患者治療に関係している医者,看護婦,パラメティカルが自由にアクセス可能である.これにより患者情報が医療スタッフで共通となり,治療方針,検査結果などが医療スタッフ全員に徹底でき,チーム医療が円滑になった.電子カルテ情報を医師以外の医療スタッフ間に開示することでコミュニケーションが非常に円滑となったと言える. またカルテの記載の統一化が可能となり,カルテ記録法の改善も容易となった.研修医の臨床研修にもテンプレートを使用したカルテ記載により教育効果が上がったように考えられる.さらに診断書,紹介状の作成が楽になり,高額医療用レセプトの作成が容易となった.電子カルテ使用により将来は質の高い多施設臨床研究が可能になると期待している. 以上,特に複数の医者多くの医者が介在する中央診療部門では電子カルテは非常に有用な診療支援システムとなると考えられた.
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