研究概要 |
HIV-1の活性化に関与する宿主因子の同定を目指して、我々はTAR RNAへの結合能で7クローンを分離した。データベースを検索した結果、5クローンはそれぞれnuclear factor90(NE90),poly A binding protein,human homologue of yeast 35.1kDa protein,human homologue of chicken inner centromere protein,human homologue of mouse phosphoprotein p150であり、残りの2クローンは未だ、同定されていないものであることが判明した。NF90は活性化されたT細胞がインターロイキン-2を産生するのに必要不可欠な核内因子であるが、TAR RNA-binding protein(TRBP)などと共通する2本鎖RNA結合モチーフを持っている。TRBPは,TARRNA-binding proteinをコードする遺伝子として最初に同定された。このことは、我々が行っているスクリーニングの条件がλ gt11をベクターとして作成したcDNAライブラリーからTAR RNA-binding proteinを分離するのに適正であることを示しているものと思われる。クローン27(JTR27;a human homologue of yeast 35.1 kDa protein)については、完全長のcDBAの塩基配列を決定し、その特徴について調べた。UTR27のアンチセンスオリゴヌクレオチドはTat存在下、あるいは、非存在下でHIV-1 LTRからの遺伝子発現を抑制した。JTR27を過剰発現させると、HIV-1 LTRのプロモータ活性ばかりでなく、Tatによる活性化をも増強した。これらの結果から、JTR27はHIV-1 LTRによる遺伝子発現に関与していることが示唆された。
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