研究課題/領域番号 |
08672598
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人類遺伝学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
遠藤 文夫 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (00176801)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 遺伝子治療 / マウス / アミノ酸代謝 / 肝細胞 / 先天代謝異常 / 遺伝子変異 |
研究概要 |
本研究では目的は以下の2点にある。すなわち(i)遺伝性高チロジン血症における遺伝子発現異常と肝細胞死及び肝細胞癌の発生機序の解明、および(ii)肝細胞障害の遺伝子治療のモデルの確立、をめざしている。本年度の研究において以下の事柄が明らかになった。(1)組み換えアデノウイルスを用いて遺伝性高チロジン血症3型モデルマウス(HPD欠損マウス)の肝臓で4-ヒドロキシフェニルピルビン酸酸化酵素遺伝子を発現すると血中チロジン値が投与後6時間以内に正常化する。(2)同じ組み換えアデノウイルスを1型モデルマウス(FAH-HPD欠損マウス)に投与すると、肝臓でのアポトーシスが生じ、マウスは20時間以内に肝不全で死亡する。同様の肝不全はホモゲンチジン酸の投与でも生じた。対照マウスではホモゲンチジン酸は肝障害を生じない。(3)FAH-HPD欠損マウスから分離した初代培養肝細胞を用いた検討では、組み換えアデノウイルスおよびホモゲンチジン酸の投与でアポトーシスが生じた。これはアポトーシスの低分子阻害剤の投与で防止することが出来た。(4)FAHをが発現する組み換えアデノウイルスはFAH-HPD欠損マウスで生じるホモゲンチジンさんによる肝障害を完全に予防した。以上の結果からFAH欠損における肝障害はアポトーシス死を引き起こすこと、この細胞死はアポトーシスを制御する薬剤で防止することが出来る可能性が示唆された。さらにFAHを発現する組み換えアデノウイルスが細胞死を防ぐことが出来たので、このモデル系は遺伝子異常を補正した肝細胞が肝臓内で生存し増殖する課程の観察を可能にするを期待される。肝細胞に対する遺伝子治療のゴールのひとつは補正された細胞が臓器内で増殖し、異常細胞と置き換わることである。ここで開発したモデルは、ホモゲンチジン酸を投与することで様々な重症度の肝細胞死と肝細胞障害を自由に作成することを可能にしている。
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