研究概要 |
1.リンパ球はCD4_+T細胞、DC8_+T細胞、B細胞、NK細胞の全てのサブセットが活性酸素産生能を有していた。 2.SLEリンパ球の活性酸素は全てのサブセットで健常人より高く、特に活性化されたT細胞やB細胞が高かった。その直接の原因は、血漿サイトカイン(IL-1β,TNF-α,IFN-γ)による刺激や、細胞接着分子(CD11a,CD29)を介した刺激によるものと推測される。 3.リンパ球活性酸素とアポトーシス間には正の相関が、また末梢血リンパ球数との間には負の相関がみられた。さらに健常人リンパ球を刺激し活性酸素を高めると、アポトーシスも高くなった。したがって、SLEのリンパ球減少は活性酸素が関与したアポトーシスによるものと考えられる。 4.SLEリンパ球のFas陽性率は全てのサブセットで健常人より高く、また活性酸素と正の相関があった。またBcl-2は健常人より高かった。したがってSLEリンパ球はアポトーシス感受性が高く、bcl-2が低い場合はin vivoでアポトーシスにより除去されるが、bcl-2が高いとアポトーシスを免れるものと考えられる。 リンパ球を抗CD3抗体と抗Fas抗体で刺激し培養すると、リンパ球Fas陽性率はSLEが健常人より高くなり、bcl-2量はSLEリンパ球の方が健常人リンパ球より低下した。アポトーシスはSLEリンパ球より健常人リンパ球の方が高くなった。この結果は、SLEにはアポトーシス抵抗性リンパ球が存在することを示唆している。 SLEリンパ球の活性酸素はSLEの臨床的活動性の評価には適さないが、むしろ生体の疾患抵抗性の指標となる可能性がある。
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