研究概要 |
訪問看護婦が「医療行為」を実施することに対する現状の問題を明らかにする目的で以下の研究を行った。 1)養護教員(小中学の教員免許を有し、看護免許はない)が重度・重複障害児に行う「医療ケア」を調査した。 2)訪問看護振興財団に寄せられた相談・質問(相談と略す)の中から,「医療行為」に関する相談を抽出し分類した。 3)過去の看護過誤の判例から看護婦が負う責任の変化を検討した。 4)既存のデータを利用し,「医療行為」に対する訪問看護施設の「実施の方針」と「実施しない方針」の状況を調査した。 結果 1)学校生活のなかで行う「医療的ケア」の位置づけによって,障害児と家族に与える影響に相違があると考えられた。 2)全464件のうち医療行為に関する相談は5.8%(27件)であった。「訪問看護婦が実施できる医療行為」9件,「ヘルパー,介護士が実施できる医療行為」6件,「訪問看護婦が実施した行為に対する責任」5件,「医師が訪問診療をしないケース」4件など8項目に分類された。 3)医療行為に関する看護過誤の看護婦・准看護婦に対する法的責任は,時代の経過とともに拡大する傾向があった。 4)各医療行為に対して「実施しない方針」を示したしせつが,その理由として「規則・責任」の問題を挙げた割合は「報酬」,「技術力」,「判断力」の割合に比べ全般的に高かった。
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