研究概要 |
本研究では、日本における母乳栄養に関する新たな援助方法を検討することを目的に、1.母親の母乳に対する意識、母乳栄養の実態、周囲の状況、医療従事者から受けたケアの実態を明らかにする。2.母親のおかれている環境から母乳栄養に栄養している因子を探索する。3.母親が受けた母乳栄養に関する援助の現状の問題を分析する。の目標を定めた。 そのために、平成8年4月1日から平成9年1月31日までに、高知市で出生した児の養育者(特に母親)2,774名を対象として、質の保証モデルを用いた質問紙を作成し、平成8年度の予算でアンケートを配布した。その結果、有効回答1,038名(37.4%)が得られた。平均年齢は28.8歳、初産595名(57.1%)、専業主婦650名(62.4%)であった。生後一週間の時点で、母乳のみであったのは31.2%、混合栄養は、64.7%であり、人工栄養は4.1%であった。生後1ヶ月では、それぞれ47.9%、46.4%、5.7%であり、生後4ヶ月では、41.7%、30.1%、28.2%、生後8ヶ月では、30.4%、23.0%、46.4%であった。生後1ヶ月まで混合ながらも母乳を与えたいた母親も4ヶ月の段階で人工栄養へと以降している。また、このような栄養に最も関係していたものは、いずれの段階も、母親の乳頭の形と母乳の分泌量が多いと自覚していることであった。生後一ヶ月と4ヶ月では、母乳育児へのこだわりが母乳栄養に関係していた。自分自身が母乳栄養で育児されたかどうかは、いずれの段階も関係はなかった。 今後は更に、母親側からの母乳に関する援助の要因の分析を続けることと、母乳栄養に関する医療従事者の態度および援助の実態を把握し、その結果、母親栄養に関するケアと、医療従事者の提供したケアとの相違および矛盾を分析し、母乳栄養についての現状のケアシステムの問題を明らかにし、新たなケア形態を検討する事が必須であると考えている。
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