研究概要 |
小児気管支喘息児のセルフケアのための個別指導法の開発を目的に以下の検討を行った。 (1)小児用Health Locus of Control尺度を,小学4年生から中学3年生までの655名に適用した結果,信頼性,妥当性,および小児気管支喘息児のセルフケア行動予測変数としての有効性が示唆された。 (2)4名の気管支喘息児を対象にセルフモニタリング法のパイロット・スタディを行った結果,Health Locus of Controlの内的統制得点が高い者により有効であることが示唆された。(3)共通のセルフケア教育を受けた気管支喘息児20名のうち,実験群として10名にセルフモニタリング法を8週間適用し,残りの10名を対照群として,それぞれの前後8週間のセルフケア得点を比較した。実験群は前後に有意差が認められたが,対照群に有意差はみられなかった。実験群について8週間の前後に発作の回数,病院受診回数,学校の欠席日数等を4週間観察し,比較したところ,明確な変化はみられなかった。(4)気管支喘息児14名にセルフモニタリング法を適用し,HLCの内的統制の得点により上位群,中間群,下位群の3群毎に実施前後のセルフケア得点を比較した。その結果,上位群5名,中間群では5名に有意差が認められた。一方,下位群では有意差は認められなかった。併せて,般化効果をみるために保健行動を測定したが,明確な変化は認められなかった。これらの結果から,セルフモニタリング法はセルフケア行動の強化に有効であること,Health Locus of Controlの内的統制の高い者,つまり,健康を自分自身の努力で得られると信じる者程有効であることが示唆された。
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